デジタル一眼レフとレンズ

2005年5月  |デジタル写真技術目次へ

 デジタル一眼レフに適したレンズについて考えてみよう。

(ニコン系の場合)
 1999年9月、ニコンから初めて民生用のデジタル一眼レフ・D1が発売された。撮像素子は35ミリ判のハーフサイズである。35ミリ判用のレンズを装着すると、焦点距離が1.5倍に伸びる。望遠には好都合なのだが、広角側が不足になる。D1と同時に発売されたのが、AF-S ニッコール17-35mmF2.8Dである。35ミリ判換算で25.5-52.5mmになる。当時、これだけの広角をカバーするズームレンズは他になかったので、D1での広角撮影はもっぱらこのレンズが使われた。ただ重さも価格も半端なものではなかった。2000年9月にはAFニッコールED18-35mmF3.5-4.5Dが発売され、価格は1/3、重量も1/2となり、これを使うことが多くなった。

 翌2000年7月にはフジフイルムからデジタル一眼レフ・FinePixS1Pro(S1)が発売された。ニコンのF60のボディを使っており、ニコンのレンズが使えるのだが、Sシリーズはマニュアルのみ、2000年11月に発売された手ぶれ補正ズーム・AFVRニッコールED80-400mmF4.5-5.6Gは補正機構が使えないという制約があった。

 2000年9月、仲間たちとアメリカ大西部へ撮影旅行に出かけた。この時にはS1と銀塩一眼レフのF80Sを使った。ほとんどの写真はS1に初代のタムロン28-200mmを付けたもので撮ったのだが、モニュメントバレーの夕景を撮るため立ち寄ったビジターズポイントからの撮影では、三脚にAF-S 17-35mm F2.8Dを付けたF80Sで撮影した。ハーフサイズのS1では3つの岩山が入り切らないからで、超広角撮影には35ミリフルサイズの銀塩一眼レフを併用する必要があった。ただ、S1ではISO感度を800に上げて夕景の手持ち撮影が快適に行えた。その後、ニコンのD1はD1X(2001年)へ進歩し、フジのSシリーズはS2(2002年)、S3(2004年)と発展し、ニコンマウントのレンズがすべて問題なく使えるようになった。

 2001年9月シグマからAF15-30mmF3.5-4.5EX DGが出て、35ミリ判換算で22.5-45mmとなり、ニコン系では最も広角寄りのズームレンズとして使用された。2003年6月にはデジタル専用のAF-S DXニッコールED12-24mmF4G(35ミリ判換算18-36mm)が出て、ニコン純正超広角ズームとして使われている。レンズメーカー製のデジタル専用ズームには、トキナーAT-X12-24mmF4プロDX、タムロンSP AF11-18mmF4.5-5.6Di2、シグマAF10-20mmF4.5-5.6EX DC HSM(発売予定)があり、ニコン系のハーフサイズデジタル一眼レフで利用できる。

 ニコンではキヤノンに比べて手ぶれ補正ズ−ムレンズの開発が遅れたが、2000年11月にAFVRニッコールED80-400mmF4.5-5.6Gが発売された。次いで、2003年3月には待望の手ぶれ補正付きのニィニッパ・AF-SVRニッコール70-200mmF2.8Gが発売された。

 2003年6月には標準ズームにも手ぶれ補正が導入された。AF-SVRニッコールED24-120mmF3.5-5.6Gである。

 発売が待たれていた高倍率ズーム・タムロンAF18-200mmF3.5-6.3XR Di2が2005年3月に発売された。35ミリ判換算で27-300mmであり、ハーフサイズのデジタル一眼レフでもフルサイズ並みの高倍率ズームレンズが使えるようになった。同様の仕様のものがシグマからも発売されている。


(キヤノンの場合)
 一方、キヤノンのデジタル一眼レフではどうだろうか。キヤノンの場合は、ハーフサイズ機では焦点距離が1.6倍になる。

 キヤノンEF16-35mmF2.8L USMが2001年12月に発売され、当時は最も広角寄りのズームレンズとして使われた。次いで、2003年11月発売のデジタル専用シグマAF12-24mmF4.5-5.6EX DG HSM(35ミリ判換算19.2-38.4mm)がある。2004年9月にはデジタル専用のキヤノンEF-S10-22mmF3.5-4.5USMが発売された。レンズメーカー製デジタル専用ズームの、トキナーAT-X12-24mmF4プロDX、タムロンSP AF11-18mmF4.5-5.6Di2、シグマAF10-20mmF4-5.6EX DC HSM(発売予定)がハーフサイズ機で利用できるのは、ニコン系の場合と同様である。

 高倍率ズーム・タムロンAF18-200mm3.5-6.3XR Di2のキヤノン用は35ミリ判換算で28.8-320mmとなり、ニコン系と同様に便利に使える。

 最初のデジタル一眼レフ、ニコン・D1の発売以来6年近くが経った。デジタル一眼レフは、キヤノン、コダックからそれぞれ1機種のフルサイズ機と、キヤノンからフルサイズとハーフサイズの中間のもの1機種が出ているが、その他のデジタル一眼レフはすべてハーフサイズ機、あるいはフォーサーズ機(オリンパス)である。ニコンのハーフサイズ機に35ミリフルサイズ用のレンズを装着すると焦点距離は1.5倍に、キヤノンのハーフサイズ機の場合は1.6倍に伸びる。

 デジタル一眼レフの初期には、対応する広角ズームが少なく銀塩一眼レフから移行することに大きな障害があった。しかし、カメラメーカーの純正品のほか、レンズメーカーが次々に優れた広角ズームを出してきたので、レンズに対する問題は全くなくなった。銀塩一眼レフのレンズはデジタル一眼レフにも使えるとは言いながら、古い設計のアナログ用のレンズは最近のデジタル対応レンズに比べて性能が劣ることは否めない。特に広角レンズにはデジタル仕様のものを用いるべきだ。デジタル対応と言われるものは、デジタル撮影に適するような工夫がされたレンズのことで、デジタル専用と呼ばれるものはハーフサイズデジタル一眼レフ専用のレンズで35ミリフルサイズ機には対応しない。

 デジタル一眼レフではカメラ側でISO感度を変更でき、高感度撮影による画質の劣化がフィルムよりも少ない。したがって、ある程度暗いレンズでも手ぶれの心配が少ない。銀塩では低いISO感度、明るいレンズがいい写真を撮る条件のように考えられたが、デジタルの場合は銀塩よりも融通が利き、軽快に撮影が行える点が優れている。特にスナップ撮影ではデジタル一眼レフのメリットは大きい。

 私はニコンのD1XとフジのS2,S3を愛用している。ズームレンズの数も増えたが、撮影する対象によってレンズを選んでいる。よく使うのは、タムロンの18-200mm、ニコンの12-24mm、ニコンの手ぶれ補正付き80-400mmである。この手ぶれ補正ズームはニィニッパの手ぶれ補正付きの70-200mmよりも暗いが、少し短く軽いので移動には便利である。キヤノンでは20Dを使っており、やはり気に入ったレンズはタムロン18-200mmで、さらに広角が必要な折には16-36mmを使う。

 妻はニコンのD70に手ぶれ補正付き24-120mmを使っている。35ミリ判換算で36-180mmとなり、広角が多少不足だが、通常のスナップ撮影には便利である。

 高倍率のズームレンズを常用する理由は、撮像素子にゴミが付着するのを防ぐためである。ゴミはレンズ交換の際に外部から入り込む。ゴミを防ぐにはレンズ交換の回数をできるだけ減らすことだ。銀塩一眼レフからデジタル一眼レフに転向した友人たちも、気に入ったレンズを常用することでレンズ交換の回数を減らす努力をしている。デジタル一眼レフのレンズ選びには一工夫が必要だ。

 キヤノンとニコンは広角から望遠まで、手ぶれ補正ズームを揃えている。デジタル一眼レフに手ぶれ補正ズームとくれば「鬼に金棒」である。ただ、手ぶれ補正ズームは高価で大きく重い。ところが、コニカミノルタのα-7DIGITALはカメラに手ぶれ防止機構のアンチシェイクが内臓されている点がユニークで、通常のレンズを使って手ぶれ補正ができるという画期的なものである。高価な手ぶれ補正レンズを買わなくても、手持ち撮影が気軽に行えるメリットは大きい。風景撮影にもスナップ撮影にも抜群の威力を発揮するだろう。

 また、デジタル一眼レフではISO感度を変更できる。戸外でのISO400は問題なく使え、夜景や室内撮影では800ないし1600が実用になる。さらに、手ぶれ補正レンズを併用すれば、撮影能力は銀塩カメラをはるかに超える。銀塩カメラでは撮れなかったものが撮れるのである。

 デジタル一眼レフのレンズ選びは機種によって異なるのは当然であるが、撮像素子のゴミ対策と機動性を考えるなら、高倍率のズームレンズ(タムロン、シグマの18-200mm)を主にし、超広角ズームを加えれば十分。これに手ぶれ補正付きの望遠ズームがあれば大抵の撮影に不足はないだろう。ニコンのAF-SVR ED24-120mmF3.5-5.6G、キヤノンのEF-S17-85mmF4.5-5.6.6IS USMなどの手ぶれ補正付きの標準ズームを常用するのも良い選択だ。

 

デジタル写真技術目次へ