![]() 2003年1月 |デジタル写真技術目次へ| デジタル一眼レフと周辺機器に関する現況と展望を考えてみよう。 1)デジタル一眼レフ 1、ハーフサイズ機 (高級機) 画素数は普及機よりも少ないが、カメラとしての機能は高級銀塩カメラ並みで、プロの使用に耐える信頼性がある。価格も高く、大きく重い。 (普及機) D100,D60,S2は実売価格は25万円を切り、10%還元のポイント制度を使えば、実質的には22万円台で手に入れることができ、銀塩一眼レフの高級機並みの値段になっている。ニコンの使用者はD100とS2が選択できるが、キャノンの場合はD60のみである。いずれも600万画素機であり、銀塩一眼レフと遜色のない画質を示す。フジのS2はハニカム配列CCDの画像補間処理により、1200万画素相当になり、3機種の中では最も解像度が高い。撮像素子の面積比から、35ミリフルサイズ用のレンズを付けると焦点距離が、D100、(D1X/D1H)、S2では1.5倍に、D60では1.6倍に、SD9は1.7倍に伸びる。 シグマのSD9は、米国・フォビオン社のCMOSセンサー「Foveon X3」を撮像素子に採用した初めてのデジタル一眼レフである。Foveon X3は1個の素子でR/G/Bの3原色の色情報を取り込める構造を持っており、カラーフィルムの構造と同じである。従ってカラーフィルターは不要、また、偽色の発生がないのでローパスフィルターも不要。画素数は343万だが、600万画素のD60やD100よりも解像感が高い。RAWデータでしか記録できないが、添付の専用ソフトで好みの画像に仕上げることができる。銀塩写真に似た自然な画質で、バシバシ撮るには向かないが、じっくりと撮るにはよさそうだ。ゴミの侵入を防ぐダストプロテクターも備えている。撮像素子の面積はハーフサイズの中で最も小さく、35ミリ用レンズの1.7倍の焦点距離になる。シグマの大口径ズーム・AF24-70ミリF2.8EX DG (SD9では41-119ミリになる)込みでも25万円程度で買えそうで、従来のデジタル一眼レフとはひと味違う画質に一度使ってみたい誘惑に駆られる。 2、フルサイズ機 コンタックス N-デジタル(604万画素) 後発機ほど画素数も上がり、実質的には安くなったが、ハーフサイズ普及機の2倍から3倍の価格である。画質は銀塩写真を超える勢いである。究極のアート写真を目指すなら、無視できない存在である。コダックの新製品はニコン系なので、ニコンファンはニコンのフルサイズ機の開発を待っている。 3、ハーフサイズか?フルサイズか? プロのカメラマンの間でも、フルサイズに統一すべきという意見と、スポーツ系の写真にはレンズが望遠寄りに1.5倍程度伸びるハーフサイズが便利とする意見がある。アマチュアの私としては、ハーフサイズで十分な気がするが、デジタル写真を極めるにはフルサイズも使ってみたいと思う。ただ、旅行や普段の撮影には小型・軽量のハーフサイズが使いよい。 2)話題のデジタル一眼レフ用ズームレンズ ニコンAF-S VRズームニッコールED 70-200ミリF2.8G(IF) ニコンの次世代大口径望遠ズームで、手ぶれ補正、超音波モーター、円形絞りを採用。昨年2月のPMAショーで発表されたが、まだ発売されていない。ニコンには手ぶれ補正付きの AF VRニッコールED80-400ミリF4.5-5.6Dがあるが、F2.8の手ぶれ補正ズームは初めての製品であり、プロのカメラマンも待ち望んでいる。ただ、D1X、D1H、D100、S2では105-300ミリとなり、広角側が100ミリを越えるので、ポートレートにはやや使いにくい。なお、キャノンもほぼ同じ仕様の手ぶれ補正ズームレンズ(EF70-200ミリF2.8L IS USM)を2001年9月から発売している。 ニコンAF-S DXズームニッコールED12-24ミリ F4G ハーフサイズのデジタル一眼レフは広角に弱いと言われる。最も広角のズームレンズと言えばシグマの15-30ミリF3.5-4.5DGがあるが、D1X、D1H、D100、S2に装着すれば22.5-45ミリとなり、もう少し広角が欲しいところだ。ニコンが開発中のハーフサイズデジタル専用の12-24ミリはこれらの4機種に付けると18-36ミリの超広角ズームが楽しめることになり、ニコン系の上記の機種では広角レンズに関する不満は解消される。ただ、周辺部の光量不足などについては実物が出ないと分からない。SD9を発売したシグマも、専用の超広角レンズを出すのではないかと思われる。 ハーフサイズデジタル一眼レフ用の標準となる大口径望遠ズームは? 銀塩用の70(80)-200ミリF2.8は高級望遠ズームの定番だが、焦点距離が1.5倍のD1X、D1H、D100、S2では105(120)-300ミリとなり、望遠には有利だが、広角側が100ミリを越えてしまい、ポートレートなどには不利である。35ミリ銀塩カメラに近い画角を持つズームレンズはないだろうか。この要望に応えてトキナーはAT-X 60-120ミリF2.8PROを出す予定だ。 昨年のフォトエキスポで発表された。同社の往年の名レンズのリバイバルだが、新しく設計しなおされ、今春発売の予定。上記の4機種では90-180ミリ(D60では96-192ミリ)になり、35ミリ判の80-200ミリに近づいてフルサイズ並みの感覚で使え、ハーフサイズデジタル一眼レフ用には最適の大口径望遠ズームになるだろう。 3)プリンター 1、染料系インクジェットプリンター 各社が新製品を次々に出しており、銀塩写真の印画紙出力に劣らぬ画質となった。しかし、耐水性と耐光性に問題があり、ポスターや展示には顔料系のプリンターを使いたい。 2、顔料系インクジェットプリンター これはエプソンの独壇場(顔料系を謳っている他社の製品では、顔料系インクは黒のみである)であり、新製品のPM-4000PXは、IEEE1394接続で印刷速度が速く画質が良いがインク代が高くつくのが欠点。旧タイプのMC-2000は印刷速度は遅い(USB接続)が、インクが一体型で持ちがよいので併用している。 3、カラーレーザープリンター キャノン、エプソン、沖電気などからカラーレーザープリンターが出ている。A4サイズなら12万円くらいから、A3サイズで20万円台からで、アマチュアにも手がとどく価格になってきた。大量のカラー印刷には印刷単価、印刷速度、機械の耐久性などでインクジェットプリンターには限界があり、また両面印刷もできないので、カラーレーザープリンターの出番となる。これを使えば少部数の写真集の自作も可能となる。 4)タブレットPC 数機種が発売される見通しである。従来のペンタブレットとは異なり、液晶画面に直接書き込んで書いた位置に表示されるので、紙に書くような入力が可能である。液晶モニターに風景を写生したり、画面に直接書き込んで写真のレタッチをすることができる。タブレットPCへの対応を、アドビシステムズなどの画像ソフトメーカーが予告しており、フォトショップなどの画像レタッチソフトが格段に使いやすくなるだろうと期待される。 5)デジタル画像のプレゼンテーション 比較的安価(実売価格で20万円未満)なデジタルプロジェクターが市販されている。本来はホームシアター用だが、デジタル写真の少人数のプレゼンテーションに適している。私は10年ほど前からホームシアターに興味を持ち、3台のプロジェクターを所有しているが、小型軽量のサンヨーのLP-A7(144万画素、2.5kg)を使ってデジタル研究会を開くことがある。ノートパソコンとつなぐ必要があり、ちょっとやっかいだが、パソコンの代わりにつなぐ小型のデバイスが開発された。リモコン操作もできる。AVerEPack300(エバーイーパック300)/アテイン株式会社(http://www.attainj.co.jp/)である。パワーポイントなどのデータのプレゼンテーションをパソコンなしで行える小型軽量のスライド・プレゼンターツールで、コンパクトフラッシュを使ってデータを保存しておいた本機をTVやプロジェクターやVGAモニターにつなぐだけで、すぐにスライドプレゼンテーションが行える。赤外線リモコンで操作ができる。定価は68,000円。まだ試用していないが、実用に耐えるものならば、デジタル写真の研究会が楽に行えるようになるだろう。しかし、コンパクトフラッシュが32MBまでしか対応していないことが、少し気にかかる。 6)デジタル一眼レフの新規格/フォー・サーズについて フォー・サーズ(Four Thirds=4/3)はオリンパスとコダックから発表されたレンズ交換式デジタル一眼レフの新規格である。撮像素子のサイズは4/3インチ、交換レンズのマウントを共通にして、メーカー間の互換性を確保する。コンパクトな撮像素子に合わせてボディもレンズも設計できるので、小型・軽量なものになる。撮像素子の特性に合ったレンズ設計が行える。撮像素子の大きさは18×13.5ミリ、縦横比は3:4、APS-Cサイズ(24×16ミリ)よりひとまわり小さい。今年中にフォー・サーズ製品が発売されるかどうか。 7)デジタル一眼レフの展望 1、フルサイズ機 がある。デジタル一眼レフといえば、撮像素子が35ミリフィルムの半分ほどのハーフサイズ機を指すのが普通だった。その後フルサイズ機が出て、デジタル一眼レフは2種類に分かれることになった。さらにフォー・サーズの新規格も発表されており、将来は3種類になる。ニコン、キャノン、フジフィルムのハーフサイズ機は二世代目になり、画素数は上がり、性能は向上し、価格は相対的に下がっている。フルサイズ機は京セラとキャノンから発売されている。ニコンはまだフルサイズを出していない。ニコンのボディを使ってコダックがフルサイズ機を開発したので、ニコンの動向が注目される。ニコンはハーフサイズを捨てるのではないかとファンは心配したが、同社がハーフサイズ機専用の広角ズームレンズを開発したとの報道に一安心している。新たなフォー・サーズ機の発展にも興味がある。 2003年、デジタル一眼レフメーカーの戦いは熾烈になるだろう。デジタルファンは目が離せない。より高性能なデジタル一眼レフが、より低価格で提供されることを願ってやまない。 (C) Copyright 2003-2006 Shigeyuki DAIMON All Rights Resreved. |